中国
中国地方の経済及び産業の概要と展望
中国地方の特徴
地理的な特徴
中国地方は鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県の5県より構成されます。地理的には、近畿と九州の中間に位置し、東西約350km、南北約140km の横長の地形で中央部には山陰と山陽を二つに分断する中国山地が東西に貫通し、日本海と瀬戸内海に面しています。
中国地方の経済規模
「6-8%経済」と称されることが多く、中国地域の主要な経済指標のウェイトは全国の約6-8%を占めています。
出典 : 経済産業省中国経済産業局「中国地域経済の現況」
ものづくり産業からサービス産業へ
ものづくり産業に強み
中国地方の産業の特徴として、化学や鉄鋼などの基礎素材型産業や輸送用機械などの組立型産業が瀬戸内海沿岸に集積するなど、ものづくり産業に強みをもっています。域際(いきさい)収支を産業別にみると、商業、サービス業では約2.5 兆円の赤字ですが、ものづくり産業では約2.5 兆円の黒字で、全体でほぼ均衡している状況であり、中国地方全体で見ると経済的自立が可能なポテンシャルを有しています。
出典:国土交通省中国地方整備局「みらいビジョン中国21」
観光産業の促進
中国地方には、原爆ドーム、厳島神社、石見銀山の3つの世界遺産や出雲神話等の歴史・文化資源及び瀬戸内海、宍道湖等の自然資源など数多くの地域資源があります。また、年間観光客数150万人を超える大きな観光地が多数点在しています。外国人観光旅客数については、各県とも近年増加傾向を示しています。
さらに、平成20年10月1日、滞在型観光を促進することをねらいとして、「広島・宮島・岩国地域観光圏」、「山陰文化観光圏」の観光圏が選定されています。
観光圏とは、「観光圏整備法」にもとづき、自然・歴史・文化等において密接な関係のある観光地を一体とした区域を意味します。区域内の関係者が連携し、地域の幅広い観光資源を活用して、観光客が滞在・周遊できる魅力ある観光地域づくりを促進するものです。
※各県ごとに調査手法が異なる(島根県と岡山県は宿泊客数、広島県と山口県は観光客数、鳥取県は公表資料無し)
※出典: 島根県:島根県観光動態調査結果
岡山県:外国人旅行者宿泊者数調査結果
広島県:広島県観光客数の動向
山口県:山口県観光客動態調査
中国地方の雇用情勢について
雇用情勢の改善
正社員の求人も改善
中国地方の雇用情勢は改善傾向にあります。有効求人倍率は広島県で0.05ポイント、岡山県で0.02ポイント、山口県で0.04ポイント、鳥取県で0.1ポイント前月比を上回りました。島根県は前月を0.01 ポイント下回りましたが、対前年同月比で0.16 ポイント上回りました。正社員有効求人倍率も前月比で増加しており、雇用情勢の改善が見られます。
出典: 厚生労働省広島労働局
出典: 厚生労働省山口労働局
少子高齢化問題と若年層の雇用促進
高齢者人口の増加
中国地方は、1995 年の777 万人をピークに人口減少に転じ、2005 年には768 万人となっています。また、全国に先行して高齢化が進展しており、島根県の高齢化率約27%をはじめ各県で全国平均を上回っています。今後、高齢者人口は引き続き増加する一方で、特に生産年齢人口が大きく減少すると見込まれます。よって、各自治体では若年層の定着を促す施策が図られています。
若年層の雇用・定着を促す
少子高齢化が進む中、政府は日本再興戦略(成長戦略)で、雇用制度改革・人材力の強化として、若者が活躍する機会の拡大を目指しています。
各県の労働局では若年層の雇用の促進と定着を促すため、「若者応援企業宣言」事業を推進しています。「若者応援企業宣言」とは、一定の労務管理の体制が整備されており、若年者のための求人を提出し、若者(35歳未満)の採用・育成に積極的であり、通常の求人情報よりも詳細な企業情報・採用情報を積極的に公表する中小・中堅企業を「若者応援企業」として、積極的にPR等を行う事業です。
新規就農者が増加
全国の動向としては、39歳以下の就農者は、近年、1万3千人から1万5千人程度で推移していますが、新規就農者の約3割は生計が安定しないことから5年以内に離農しており、定着するのは1万人程度となっています。
一方、中国四国管内では、「農の雇用事業」が定着しつつあり、法人雇用による就農が増加傾向にあります。
農林水産業では法人経営のメリットとして、新規就農の受け皿や農業従事者の福利厚生面の充実を挙げています。法人化が新規就農者の増加・定着に寄与していると考えられます。
中国地方の魅力について
都内に展開するアンテナショップ
都内にいても中国地方を身近に感じることのできるアンテナショップがあります。それぞれのアンテナショップでは、各地の特産品の展示や販売のほか、観光案内や就労希望者のための相談会も行われています。
にほんばし島根館
出典:にほんばし島根館
おいでませ山口館
出典:おいでませ山口館
食のみやこ鳥取プラザ
出典:食のみやこ鳥取プラザ
広島ブランドショップTAU
出典:広島ブランドショップTAU
おかやま新橋館
平成26年9月28日にオープンの予定です。
瀬戸内 海の道構想
出典:広島県庁
広島県では、「海の道プロウジェクト」として、市町村のほか民間企業やNPO法人などの知恵とノウハウを結集して、地域再生のイノベーションを推進しています。「海の道プロウジェクト」とは、瀬戸内海に面した2つの世界遺産、牡蠣や小魚などの海産物、柑橘類などの農作物、今も残る文化財や伝統行事を活かした地域産業活性化の施策です。
戦略テーマとして、「みなとまちルネッサンス」、「瀬戸内 サイクリングロード」、「瀬戸内 アート廻廊」、「里・海・島の五感体感ツーリズム」などが取り組まれています。
アジア圏の経済成長の取り込み
成長するアジア圏との連携強化
急成長中の東アジアとの貿易額の増加、東アジアとの生産連携が拡大する中で、近年、中国地方の貿易額は飛躍的に増加しています。特に鉄鋼、化学等の基礎素材型産業や輸送用機械、電気機械等、中国地方の基幹産業はグローバルな生産連携により成長力を高めています。
コンテナ貨物取扱量は、全国と同様に増加傾向にあり、特に、ものづくり産業が集積する瀬戸内側の港湾で取扱量が多く、今後も東アジアの急成長によりさらなる増加が期待されます。
また、山陰側においては、経済発展めざましい北東アジアとの地理的近接性を活かし、定期貨客船の新航路開設などロシア沿海地方、韓国、中国東北部などとの連携強化の動きが活発化しています。
最後に
中国地方には世界遺産、歴史・文化資源、自然資源など数多くの地域資源があり、さらに観光地の整備もされています。歴史や文化を身近に感じながら生活や仕事をしたい方にはピッタリな環境といえるでしょう。